ローンの計算も無事にすみ、無理なく返済できる目処がたった 「夢」。
自分の夢を達成するまでもう少しだ。
新築マンション購入時の頭金はいくら必要か?ローンを組むときは元金を減らすほど有利になる。
計算に計算を重ね、普通のアパートを借りる家賃程度の返済を見積もった。
管理費、修繕積立金などを含めて支払うお金は 9万円/月。
結婚後の生活がどうなるかは未知ではあるが、ローンを払いつつも多少の蓄えは可能なはずだ。
…
……
明日は仮契約の有効期限日だったが、特にセールスから催促の電話はなかった。
自分からは電話しないとは言っていたが、時と場合によるのではないだろうか?
でも腹はもう決まったので、自分からセールスの人に電話をかけてみた。
夢
「こんにちは。営業の Sさん いますか?。」
Sさん
「はい、お電話変わりました。Sです。夢さん今日はどのようなご用件で。」
いやいや。
ご用件も何もないだろう。
夢は開口一番、
「あのマンションの部屋を買うので、明日本契約にいきます。」と伝えた。
正直、この契約方法は正しくはないだろう。
もっと交渉の余地はあったはずだが、もう引き延ばす必要もないと考えた。
電話で話を聞いていると、本契約時には現金がある程度必要なことがわかった。
手付金、諸手続きで必要になるらしい。
頭金は最低100万円は必要と言われた。そのため、本契約で持って行くお金は100万円あれば十分だったが、残りはマンション購入時の頭金にも回せるというので、現金で500万円持って行くことにした。
夢は早速、車に乗り銀行へ急いだ。
駐車場に車を止め、預金通帳を確認する。
この銀行にはちょうど500万円の預金があったので全額をおろすことにした。
窓口で手続きすると、ある程度の大金ということなので個室に連れていかれた。
銀行員
「何に使うのでしょうか?」
形式的な質問だった。
夢
「いや、マンション購入の頭金に使おうと…。」
夢はそれ以上話す気はなかった。
正直、そんなことはもうどうでも良かった。
早く、帰らせてくれ。
大金を持っていると落ち着かない。
銀行員
「では、今後ともよろしくお願いします。」
夢は軽く会釈をして、500万円が入った紙袋を持って出口へと向かった。
貯金を全額下ろしたのに 「今後ともよろしく」 か。
ちょっと、面白かった。
500万円ものお金を一気に下ろした時はさすがに緊張しました。
移動中に誰かに襲われるのではないかと猜疑心を持ったのは漫画の見すぎなのでしょうか?

頭金が100万円くらいあれば、マンションを購入することはできます。
でも、その場合はローン地獄を覚悟しておいたほうが良いでしょう。
何度も言いますがマンションに限らず家を購入するときは、頭金をできるだけ多く用意しておいて、ローンで借りるお金は少なくしておくことは重要です。
夢は電話で、頭金は500万円と言ってしまったが、実際に用意できるお金は1500万円あったことを伝えることを忘れていた。
これは、明日の本契約のときに訂正しようと思った。
夢は布団に入って、未来のことを考える。ローンの頭金でお金をほとんど使ってしまうが、本当に大丈夫なのだろうか?
まだ、結婚式もしていないのに節約生活を続けることができるのだろうか?
でも、自分のこの節約体質は生まれ持ったもの。
それは幼い頃の記憶でもある。
子供のとき、ガチャガチャの景品が欲しくて、10円をねだったことがある。
あまりにしつこかったからだろうか?
しまいには、親から平手うちを喰らった。
実家はお金のことで苦労していたことも多かった。
10円ですら容易にもらうことはできなかった。
その頃の経験もあり、自分もお金は使ってはいけないという体質になっていた。
一方、桃花は自分と全くの逆の性格をしていた。
お金があれば、全部使ってしまうようなタイプだった。
親も入ってきたお金はどんどん使っていくタイプで、あまり貯金というものはしないらしい。
実際、嫁の実家も蓄えはほとんどなかった。
自分の中で貯金するというのは当たり前だったので、これには驚いた。
でも、お金が無ければそれはそれで調整ができるという。
また、桃花は人が喜んでもらえることをするのが好きらしい。
私のような節約タイプの人間が2人集まったら、その結婚生活はつまらないだろう。
かといって、両方ともお金を派手に使うタイプだったら、結婚生活は破綻するだけだろう。
世の中は絶妙なバランスの中で成り立っている。
明日はその桃花と一緒にマンションの本契約をしてくる。
いろいろと将来のことを考えながら、夢は深い眠りについた。
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